Letter 物性:組成調節した強誘電体における幾何学的フラストレーション 2011年2月24日 Nature 470, 7335 doi: 10.1038/nature09752 幾何学的フラストレーションは広く見られる現象で、いくつかの基本相互作用と基礎となる格子形状との間の本質的な不適合性に起因する。幾何学的フラストレーションは、新しい基礎的現象を引き起こし、スピンアイス、スピン液体、スピングラスのようなエキゾチック状態の形成といった、関心を集めている効果をもたらすことが知られており、分数電荷量子化や磁気単極子という発見にもつながってきた。幾何学的フラストレーションにかかわる機構は、リラクサーやマルチフェロイック挙動の起源、巨大磁気静電結合、高転移温度超伝導の異常かつ新規な機構を解明するために提案されてきた。この20年ほどの間、幾何学的フラストレーションは磁気系で特によく研究されてきたが、強誘電材料(磁気双極子ではなく電気双極子を持つ化合物)という重要な材料種での幾何学的フラストレーションの出現は、元来知られていない。今回我々は、第一原理に基づく手法を用いて、組成傾斜強誘電体が、幾何学的フラストレーションに伴う特徴的な「指紋」を持つことを示す。これらの系は、高度に縮退したエネルギー面を持ち、臨界現象を示す。さらに、複雑な空間的組織をもつ新規なストライプ相を伴うエキゾチックな秩序化を示す。これらのストライプは、らせん状態、トポロジカル欠陥および屈曲を示す。したがって組成傾斜強誘電体は、幾何学的フラストレーションを示すことが可能な材料の幅広いカテゴリーに強誘電体を仲間入りさせる「ミッシング・リンク(失われた環)」と見なすことができる。我々のab initio計算結果によって、幾何学的にフラストレートしたこの新しい系を微視的に深く考察できる。 Full Text PDF 目次へ戻る