幹細胞や前駆細胞は、非対称細胞分裂により増殖と分化のバランスを保っている。無脊椎動物での証拠から、この過程は有糸分裂中に細胞表層に非対称的に分布するタンパク質群(極性をもたらすPar3–Par6–aPKCと、紡錘体の配置を統御するGαi–LGN/AGS3–NuMA–dynein/dynactin)によって制御されていることが示されている。本研究では、層形成に伴って前駆細胞が対称分裂から主に非対称分裂への切り替えを起こす、発生中のマウス皮膚に着目した。in vivoで皮膚特異的なレンチウイルスRNA干渉を用いて、紡錘体配向の調節について調べ、LGN(別名Gpsm2)、NuMA、dynactin(Dctn1)が関与することの直接的な証拠を示す。非対称細胞分裂の障害により、層形成、分化およびバリア形成に著しい異常が見られるようになることから、Notchシグナル伝達が重要なエフェクターであることが示唆される。我々の研究は、哺乳類のシステムにin vivo RNA干渉を適用することの有効性と、複雑な遺伝学的相互作用を容易に解き明かせることを示しており、紡錘体配向における変化が、皮膚発生中の正常組織構造の確立とどのように関連しているのかについての手がかりが得られた。