Letter

気候:2000年秋のイングランドとウェールズにおける洪水リスクに対する人為起源温室効果ガスの寄与

Nature 470, 7334 doi: 10.1038/nature09762

災害をもたらす気象関連事例のリスクが人為起源の気候変化に起因すると考えることに関心が高まっている。しかし、この原因帰属問題を調べるために用いられる気候モデルは、2000年10月と11月に英国で起きた洪水のような災害をもたらす事例に関連した気象擾乱を解明できないことが多い。これらの洪水は、1766年の記録開始以来イングランドとウェールズで最も湿潤だった秋季に起こったもので、この地域一帯で約10,000件の家や土地に損害を与え、公共サービスに深刻な影響を与え、発生した保険損失の見積もり額は約13億ポンドに及んだ。この洪水は、当時は気候変動の影響への「警鐘」と見なされたのだが、このような主張には、地球温暖化時に極値降水量が増加することを示唆する一般的な熱力学論拠以外に裏付けがほとんどないものが多く、洪水に関係する複雑な水文気象を十分に説明できない。本論文では、人為起源の温室効果ガスの全球的な放出によって、2000年の秋のイングランドとウェールズにおける洪水発生のリスクが増大した可能性が非常に高いことを示す、物理的考え方に基づく多段階の「極端事例の確率的原因究明」の枠組みを示す。一般ボランティアによる分散コンピューティングを用いて、季節予報の分解能を持つ気候モデルによる2000年秋のシミュレーションを、現実の条件と、温室効果ガスのこのような放出とその結果としての大規模な温暖化が起こらなかった場合に考えられる条件で、数千回実行した。結果を降水–河川流出モデルに入力し、このモデルを用いて、イングランドとウェールズにおける日河川流出量の極端事例(洪水事例の指標となる物理量)をシミュレートした。人為起源の寄与の正確な大きさは依然としてわかっていないが、9割の事例で我々のモデルの結果は、20世紀における人為起源温室効果ガス放出によって、イングランドとウェールズでの2000年秋の洪水発生のリスクが20%以上増加したことを示しており、3分の2の事例で90%以上増加したことを示している。

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