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発生:Tbx6に依存したSox2の調節が体軸幹細胞の神経系と中胚葉への発生運命を決める

Nature 470, 7334 doi: 10.1038/nature09729

神経板発生についての古典的な考え方によれば、外胚葉が中胚葉や内胚葉の細胞系譜から分離した後に、外胚葉から神経板が生み出されることになっている。しかしながら、最近の細胞系譜を追跡した実験結果は、尾側神経板と沿軸中胚葉とが、尾側側方の胚盤葉上層に由来する、双能性を持った共通の体軸幹細胞から生み出されることを示している。Tbx6の機能を完全に失った変異体のマウス胚では、沿軸中胚葉に代わって異所的に神経管が形成される。このTbx6変異マウス胚が、神経系と中胚葉との運命選択を司る調節機構についての手がかりを与えると考えられる。本研究では、Tbx6に依存したSox2の調節が、体軸幹細胞の運命を決定することを明らかにする。野生型の胚では、神経系の発生を開始させる遺伝子であるSox2のエンハンサーN1が尾側側方の胚盤葉上層で活性化され、表層にとどまる細胞ではN1活性が持続して、神経板でのSox2の発現を活性化する。対照的に、中胚葉になる細胞では、沿軸中胚葉領域へと移動する前にTbx6が活性化されるとともにエンハンサーN1が不活化される。それに対してTbx6変異胚では、エンハンサーN1活性が沿軸中胚葉領域でも持続し、異所的にSox2が活性化され、沿軸中胚葉が神経管へと変換される。Tbx6変異胚にエンハンサーN1特異的な欠失変異を導入すると、中胚葉領域におけるこの異所的なSox2の活性化、そしてそれによって生じる異所的神経管の発生が妨げられる。このことは、Tbx6がエンハンサーN1を介してSox2を調節することを示している。沿軸中胚葉領域におけるTbx6依存的なWnt3aの抑制が、この調節過程に関連していると考えられる。野生型胚でも、沿軸中胚葉特異的にSox2導入遺伝子を異所発現させると、異所的な神経管発生が引き起こされる。したがって、Tbx6はエンハンサーN1の不活性化によりSox2を抑制することで神経系の発生を抑制しており、このことは体軸幹細胞から沿軸中胚葉を生み出すために必須の一過程である。

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