Letter 化学:ジチオリン酸により触媒したジエンへの不斉付加反応 2011年2月10日 Nature 470, 7333 doi: 10.1038/nature09723 キラルブレンステッド酸(プロトン供与体)は、特別な有毒金属や高価な金属を必要としない触媒条件下で、広範囲の不斉化学変換を容易にすることが示されている。これまでに開発された触媒は分極した官能基の活性化にはきわめて有効であるが、有機ブレンステッド酸を用いて、活性化されていない炭素–炭素多重結合のエナンチオ選択性の高い変換を触媒できるかどうかは明らかではない。ラセミ酸触媒によるアルケンへの「マルコウニコフ」付加はよく知られた化学変換であることにもかかわらず、このような不完全性は解消されていない。本論文では、キラルジチオリン酸が、ジエンやアレンの分子内ヒドロアミノ化とヒドロアリール化を触媒して、非常に優れた収率とエナンチオマー過剰率で複素環式生成物を生成できることを示す。我々は、この酸触媒がジエンに付加してジチオリン酸中間体が生成された後、求核置換反応が起こるという反応機構を提案する。この機構を裏付ける、質量分析法と重水素標識法による結果も報告する。本研究で明らかになったこの触媒と概念は、他の不飽和系の不斉官能基化へ応用できると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る