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発生:独特なクロマチン標識により明らかとなったヒトの初期発生エンハンサー

Nature 470, 7333 doi: 10.1038/nature09692

細胞運命の遷移には、エンハンサーなどの調節エレメントによってコードされるゲノム情報の統合と細胞環境が関与している。しかしながら、ヒト胚発生を制御するゲノム塩基配列の同定は、非常に困難な課題である。本研究では、ヒト胚性幹細胞(hESC)では、独特なクロマチン標識により、2種類のゲノムエレメントが特定されることを示す。2つのエレメントはいずれも、クロマチン調節因子p300とBRG1の存在、ヒストンH3リジン4のモノメチル化(H3K4me1)、および低いヌクレオソーム密度が特徴である。さらに、最初のクラスのエレメントは、ヒストンH3リジン27のアセチル化(H3K27ac)によって識別され、以前に特徴が明らかにされたhESCエンハンサーと重複しており、hESCと胚盤葉上層で発現する遺伝子の近傍に位置する。それとは対照的に、我々が「poisedエンハンサー」と名付けた2番目のクラスのエレメントは、H3K27acの欠如、ヒストンH3リジン27のトリメチル化(H3K27me3)が豊富なことによって識別され、hESCでは不活性な遺伝子と関連しており、むしろ原腸形成や中胚葉形成、神経胚形成など胚発生の初期過程の統御に関与している。発生が進んでから活性化される(poised)特性と一致して、神経外胚葉に特異的なpoisedエンハンサーの部分集団では、hESCから神経上皮への分化の間に、活性エンハンサーと関連したクロマチン標識を受ける。ゼブラフィッシュ胚における解析では、ゼブラフィッシュゲノム中の塩基配列が保存されていない場合でも、poisedエンハンサーは、それらの近位発生遺伝子の特性である、細胞の種類や発生段階に特異的な発現を誘導できる。これらの結果から、初期発生のエンハンサーはhESCであらかじめエピジェネティックに標識されていることが明らかになり、これまで認識されていなかったH3K27me3の遠位調節配列での役割が示される。さらに、本研究で同定された多くの新たな調節配列は、ヒト胚発生の初期段階に見られる、一過性の希少な細胞集団を研究、単離するうえで重要なリソースとなるだろう。

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