Letter 発生:哺乳類網膜の層形成を制御する膜貫通型セマフォリンシグナル伝達 2011年2月10日 Nature 470, 7333 doi: 10.1038/nature09675 脊椎動物の網膜では、視覚情報を処理し正しい視覚を得るためには、異なるタイプの網膜ニューロン間で正確なシナプス接続が形成されることが非常に重要である。内網状層(IPL)は網膜の層の1つで、通常はさらに5つの主な亜層に分けられる。IPLでは、網膜神経節細胞(RGC)、アマクリン細胞、双極細胞の神経突起が型通りの分岐パターンを作り、機能を持つ神経回路が形成される。しかし、これらの異なる型の網膜細胞をIPL内の特定亜層へ誘導する分子機構は、まだ解明されていない。今回我々は、膜貫通型セマフォリンSema6Aが、受容体であるプレキシンA4(PlexA4)を介するシグナル伝達により、ニューロンの層特異的層化を制御していることをマウスの網膜で明らかにする。発現解析によって、発生中の網膜でSema6Aタンパク質とPlexA4タンパク質が相補的に発現されていることが明らかになった。つまり、Sema6AはIPLの大半のON亜層で、PlexA4はOFF亜層で発現されている。PlexA4遺伝子あるいはSema6A遺伝子にヌル変異を持つマウスでは、IPLのチロシンヒドロキシラーゼを発現するドーパミン作動性アマクリン細胞、内因性光感受性RGC(ipRGC)、カルビンジン陽性細胞の神経突起の定型的な層特異的分岐に重大な異常が生じた。Sema6AとPlexA4は、in vivoで遺伝的に相互作用してドーパミン作動性アマクリン細胞の層への誘導を調節している。したがって哺乳類網膜では、IPL中の亜層へのニューロンの誘導を、ニューロンの突起に存在する膜貫通型の反発性シグナルが行っている。 Full Text PDF 目次へ戻る