Letter 構造生物学:フェムト秒X線タンパク質ナノ結晶学 2011年2月3日 Nature 470, 7332 doi: 10.1038/nature09750 X線結晶学は、非常に多くの巨大分子の構造を明らかにしてきたが、この方法の成功は十分な大きさの結晶が成長することにかかっている。通常の測定では、十分な大きさでない結晶からデータを記録する際にはX線量を増すことが必要となるため、回折信号が記録できる前に大きな損傷が起きてしまう。膜タンパク質の大型でよく回折する結晶を得るのは特に困難である。このため、膜タンパク質は生細胞すべてで重要であるにもかかわらず、固有の構造が決定されたものは300個以下である。本論文では、LCLS(線形加速器コヒーレント光源)硬X線自由電子レーザーからのフェムト秒パルスを用いて、ナノ結晶の完全に水和した流れから単結晶X線回折「スナップショット」を集めるという構造決定手法を示す。我々は、最大の膜タンパク質複合体の1つである光合成光化学系Iのナノ結晶を用いて、この考え方を検証した。今回の実験では300万以上の回折パターンが集められ、各光化学系Iナノ結晶(200 nmから2 µmの大きさ)から三次元データセットが組み立てられた。ほとんどの損傷過程の時間スケールより短いパルスを用いることで、結晶学的測定における照射損傷の問題が軽減される。この結果は、通常の照射源による研究に用いるのに十分な大きさの結晶が得られない巨大分子や、特に照射損傷が激しい巨大分子の構造決定を行うための新たな手法となる。 Full Text PDF 目次へ戻る