Letter 細胞:ゼブラフィッシュ成体で腎臓を再生できるネフロン前駆体の同定 2011年2月3日 Nature 470, 7332 doi: 10.1038/nature09669 腎臓の機能障害は、多くの腎疾患の原因となる。哺乳類は腎臓の機能単位であるネフロンを部分的に修復することはできるが、新たに形成することはできない。それに対し、魚類は死ぬまでネフロンの数が増加し、損傷後もネフロンをde novoで再生できるため、哺乳類の腎臓を治療によって再生させる方法を見つけるためのモデルになる。今回、成体ゼブラフィッシュの新生ネフロンの起源を追跡し、ネフロン前駆細胞を含む小さな細胞凝集体がその源であることがわかった。10〜30個の細胞からなる凝集体を1つ移植するだけで、成体に生着して複数のネフロンが形成される。累代移植試験によってネフロン前駆細胞の自己複製能を検証した結果、幹細胞と同様の長期生存能および高い複製能を持つことが明らかになった。緑色または赤色蛍光タンパク質でタグ標識されたネフロン前駆細胞を混ぜて移植すると、モザイク状のネフロンが一部形成されたため、1つのネフロンの形成には複数のネフロン前駆細胞が関与することがわかる。この結果と一致して、透明な幼生を用いてネフロン形成を生体画像化すると、複数の細胞が合わさって腎形成凝集体が形成され、その後ネフロンに分化するのが観察される。以上の結果から、ゼブラフィッシュの腎臓は自己複製能を持つネフロン幹/前駆細胞を含むことが明らかになった。このような細胞が同定されたことで、哺乳類で類似する細胞を単離または細胞工学的に作製し、新しい腎臓再生治療法の開発に生かす道が開かれる。 Full Text PDF 目次へ戻る