Letter 構造生物学:ヒトO-GlcNAcトランスフェラーゼとそのペプチド基質との複合体の構造 2011年1月27日 Nature 469, 7331 doi: 10.1038/nature09638 哺乳類の必須の酵素であるO-結合型β-N-アセチルグルコサミントランスフェラーゼ(O-GlcNAcトランスフェラーゼ;以下OGT)は栄養センサーとして働いて、代謝状態とさまざまな細胞内シグナル伝達経路の調節とを共役させている。OGTは、UDP-N-アセチルグルコサミン(UDP-GlcNAc)由来のN-アセチルグルコサミンの、細胞質や核、ミトコンドリアのタンパク質のセリンやトレオニンへの転移を触媒する。こうしたタンパク質の中には、多数の転写因子、腫瘍抑制因子、キナーゼ、ホスファターゼやヒストン修飾タンパク質が含まれる。OGTによる異常な糖鎖付加は、インスリン耐性、糖尿病性合併症、がん、アルツハイマー病などの神経変性疾患と関係付けられてきた。OGTの重要性にもかかわらず、それがタンパク質基質を認識し、糖鎖付加する仕組みの詳細は、ほとんどわかっていない。今回我々は、UDPとの二元複合体(分解能2.8 Å)とUDPとペプチド基質との三元複合体(分解能1.95 Å)という、ヒトOGTの2種類の結晶構造を報告する。これらの構造から、酵素反応機構への手がかりが与えられ、OGTが標的ペプチド配列を認識する仕組みが示され、2つに分かれた触媒部位の間の特異なドメインの折りたたみ方が明らかになった。この情報は、OGTの機能を調べるための生物学的な実験の合理的設計を加速すると予想され、また細胞プローブとして使われる阻害剤の設計や、治療標的としての可能性の評価にも役立つだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る