Letter 発生:脊索動物幼生の上衣細胞は成体の神経系を生み出す幹細胞様の細胞である 2011年1月27日 Nature 469, 7331 doi: 10.1038/nature09631 尾索動物ホヤ類での幼生から成体への変態は、体制の劇的な変化を伴って起こる。例えば中枢神経系(CNS)は、制御していた幼生の器官が消失し、新たに成体の器官が形成されるため、大規模な再編成を受ける。成体のCNSが再構築される仕組みを解明するために、我々は遺伝子導入個体と光変換型蛍光タンパク質を用いた画像化技術により、ホヤの変態における幼生CNS細胞の運命を追跡した。本研究では、尾部神経索を除き、ホヤ幼生のCNSの大部分が変態期を通じて維持されており、成体のCNSの形成に用いられることを示す。また、幼生ニューロンの大半は消失し、コリン作動性運動ニューロンとグルタミン酸作動性ニューロンの一部のみが保持されることも見いだした。さらに、幼生のCNS上衣細胞が成体CNSの構築に寄与し、一部は成体CNSにおけるニューロンに分化することを明らかにした。上衣細胞は、脊索動物の変態の際に成体の神経ネットワークを再構築するために神経幹細胞様の細胞として働くという、意外な役割を持つことが本研究で明らかとなった。以上のことから、脊索動物における非神経性の上衣細胞と神経細胞の可塑性は、今後の研究で再検討すべき課題と言えよう。 Full Text PDF 目次へ戻る