Letter

材料:単層グラフェン原子パッチワークキルトにおける結晶粒と粒界

Nature 469, 7330 doi: 10.1038/nature09718

多結晶材料の特性は、結晶粒の大きさや粒界の原子構造の影響を受けることが多い。これらの影響は、線欠陥であっても結晶を分割・分断しうる二次元材料で特に顕著である。この問題は、炭素原子の二次元六方晶結晶であるグラフェンでは実際上重要である。現在では、化学気相蒸着法によって、最高数メートルのスケールで原子1個分の厚さのグラフェンシートを作製できるため、グラフェンはほぼ必然的に多結晶になる。理論的には、グラフェン粒界は、原子配列に強く依存して、異なる電子的、磁気的、化学的、機械的特性を持つと予測されている。しかし、結晶粒と粒界原子のサイズが5桁違うため、グラフェンの結晶粒構造を十分調べた実験は少ない。今回我々は、旧型と新型の透過電子顕微鏡技術を組み合わせて、これらの長さスケールのギャップを埋めた。原子分解能の画像化法によって、粒界の個々の原子の位置と特性を確認し、異なる結晶粒が主として五角形と七角形のペアを介してつなぎ合わさっていることがわかった。それぞれの結晶粒中の数十億もの原子を個々に画像化するのではなく、回折フィルター画像化法を使って、数百の結晶粒と粒界の位置、向きおよび形状が高速マッピングされた。これは、これまでわずかしか報告されていない。得られた画像から、傾角粒界で結晶粒がつながった意外に小さく複雑なパッチワークが明らかになった。走査プローブ測定と輸送測定の結果を結晶粒の画像化の結果と相関させることによって、粒界はグラフェン膜の機械的強度を著しく弱めるが、電気的特性をそれほど大きくは変えないことを示す。これらの技術は、グラフェンなどの二次元材料における結晶粒と粒界の構造、特性、制御を研究する新たな機会を開く。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度