Letter 免疫:ジスルフィド結合の還元によって出現するヒトβデフェンシンの強力な抗菌活性 2011年1月20日 Nature 469, 7330 doi: 10.1038/nature09674 ヒト上皮は、共生微生物や病原微生物などの細菌や菌類による攻撃に絶えずさらされている。腸では近位から遠位になるにつれて偏性嫌気性生物の割合が増加し、結腸では細菌の99%にも達する。結腸粘膜では酸素分圧は大気中酸素含量の25%以下であり、さらに微生物の代謝が原因で、結腸では酸化還元電位が−200 mVから−300 mVにまで下がる。デフェンシンは3つの分子内ジスルフィド結合を特徴とする自然免疫系の重要なエフェクター分子群で、宿主を感染微生物から守り、粘膜表面の微生物叢の構成を決定している。ヒトβデフェンシン1(hBD-1)はデフェンシンの中で最もよく見られるペプチドの1つだが、ヒトの上皮すべてで広範に発現されているにもかかわらず、他のデフェンシンに比べて弱い抗菌活性しか示さないとされている。好気的環境下での抗菌ペプチドの活性については多くが知られているが、還元的環境下でのデータは限られている。本論文では、ジスルフィド架橋の還元後にhBD-1が、日和見病原性真菌であるカンジダ菌(Candida albicans)や嫌気性グラム陽性片利共生細菌であるビフィズス菌類(Bifidobacterium)、乳酸桿菌類(Lactobacillus)に対して強力な抗菌活性を示すペプチドになることを明らかにする。還元型hBD-1は酸化型hBD-1と構造が異なり、抗菌活性にはカルボキシ末端の遊離システインが重要らしい。in vitroではチオレドキシン(TRX)系がhBD-1を還元可能で、またヒト上皮ではTRXが還元型hBD-1と同じ場所に局在する。これらの知見は、還元型hBD-1が片利共生細菌や日和見真菌が定着しないように健康な上皮を保護していることを示している。したがって、酸化還元調節と自然免疫防御の密接な相互作用は、ヒト上皮を守る効果的な障壁として不可欠らしい。 Full Text PDF 目次へ戻る