Letter 生態:社会性アメーバで見られる原始的な農業 2011年1月20日 Nature 469, 7330 doi: 10.1038/nature09668 農業は、人類の生態学的成功の大きな部分を占めている。少数の動物、特に菌類を栽培するアリ、シロアリおよびキクイムシは、食物の散布体の散布および播種、作物の栽培、持続可能な収穫などを行う農業を発展させてきた。さらに原始的な例として、潮間帯菌類を栽培する海生腹足類や藻類を栽培するスズメダイが挙げられるが、これらは適応が少ないため栽培(husbandry)と呼べるかもしれない。近年の研究により、微生物は、協同作用やコミュニケーション、認識などに加えてさまざまな種類の共生など、かなり複雑な行動をとるという点で、意外なほど動物と似通っていることが明らかになっている。本論文では、社会性アメーバのDictyostelium discoideumが、作物の散布および節度ある収穫を伴う原始的な栽培型共生を行っていることを示す。採集した野生クローンの約3分の1は、細菌の栽培を行っていた。これらのアメーバは生息パッチ内の細菌すべてを食べてしまわず、摂食を早めに停止して、細菌を自身の子実体に取り込んだ。さらに、胞子散布の際に胞子が細菌を運び、新たな食用作物の播種を行うことができた。このことは、新しい生活の場に摂食可能な細菌が存在しない場合には大きな利益をもたらす。しかし、適切な細菌がすでに存在する場所に到着した場合、摂食を早めに停止したコストの見返りは得られず、それがこの栽培型共生の二分的性質の説明になると考えられる。栽培の利益はすでに確立されている血縁集団に多世代にわたって伝わるので、社会性アメーバによる細菌の栽培と社会性昆虫による菌類の栽培との間に際立った収斂進化が見られるのは理にかなっている。 Full Text PDF 目次へ戻る