Letter

生理:五量体であるリガンド作動性イオンチャネルに結合した全身麻酔薬のX線構造

Nature 469, 7330 doi: 10.1038/nature09647

全身麻酔薬は長年にわたって広く使用されてきたが、その作用の分子機構はよく解明されていない。主要な標的が抑制性GABAA(γ-アミノブチル酸)受容体や興奮性のニコチン性アセチルコリン受容体などの五量体リガンド作動性イオンチャネル(pLGIC)であることを示す十分な証拠があり、これら受容体はそれぞれ全身麻酔薬により増強および抑制される。最近X線構造が解明された、シアノバクテリアGloeobacter violaceus由来の細菌ホモログ(GLIC)も、臨床濃度の全身麻酔薬に対して感受性を示す。今回我々は、全身麻酔薬であるプロポフォールおよびデスフルランとそれぞれ複合体を形成したGLICの結晶構造を報告する。これらの構造から、共通の全身麻酔薬結合部位が明らかとなり、結合部位はアポ構造中で各プロトマーの膜貫通ドメイン上部にすでに存在している。両方の薬剤分子が共に、タンパク質とファンデルワールス相互作用を形成している。プロポフォールはキャビティの入り口付近で結合するのに対して、より小さく変形可能なデスフルランはより深く入った内部に結合する。結合部位の内側表面を形成しているアミノ酸の変異は、プロトンに対するGLICのイオン応答を非常に大きく変化させ、全身麻酔の薬理学的作用に影響を及ぼす。野生型(WT)および2つのGLIC変異体で行った分子動態シミュレーションから、結合部位でのプロポフォールの可動性の違いがはっきりし、これは変異の影響を説明する助けとなる。以上の結果は、全身麻酔薬および脳のpLGICのアロステリック修飾因子の設計のための新たな構造基盤を提供している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度