Letter

植物:ハナシノブ科植物キキョウナデシコの個体群隔離の強化の原因となる2個の遺伝子の同定

Nature 469, 7330 doi: 10.1038/nature09641

種の形成は生物多様性を生み出すものであり、個体群間の遺伝子流動を防ぐような形質が進化したときに起こる。ここ15年ほどの間に、このような形質の基盤となる遺伝子の数や分布が識別され、いくつかの例では該当する遺伝子が同定されたことで、種形成についての理解が大いに深まった(Noor & Feder、およびWolf et al.の総説)。しかしこの総説では、地理的に隔離された個体群間で遺伝的分岐が生じる際の副産物として進化した、個体群間の遺伝子流動を制限する形質にほぼ限って論じている。これに対して、自然選択が遺伝子流動の制限に対して直接的に有利に働いて種形成が起こる「強化」の過程にかかわる遺伝子の性質は、ほとんど解明されていない。今回我々は、ハナシノブ科植物キキョウナデシコ(Phlox drummondii)の花色の変化を引き起こすとみられる2つの遺伝子の変化を同定した。この花色の変化が強化に寄与することは、これまでの研究で明らかになっている。どちらの遺伝子変化にも、アントシアニン生合成経路(ABP)の遺伝子のシス調節変異がかかわっている。一方の変異は劣性、もう一方は優性であるため、雑種となる子孫の花色は花粉媒介生物の訪れの少ない中間色となり、適応度はおそらく低くなる。したがって、接合前隔離を進ませるよう選択された遺伝的変化が、接合後隔離をも進ませることになるらしい。

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