Letter 視覚:網膜の方向選択性の基礎となる非対称的抑制の発達 2011年1月20日 Nature 469, 7330 doi: 10.1038/nature09600 神経回路が機能的に発達するには、シナプス結合が正確に確立されることが非常に重要である。網膜の方向選択性回路は、スターバーストアマクリン細胞(SAC)から、ON–OFF方向選択性神経節細胞(DSGC)の4つのサブタイプ(それぞれ、主要4方向のうち、1方向への運動を優先する)に向けた、高い選択性を持つ抑制性入力配線に依存している。ウサギでは、DSGCの「ヌル」側のSACは機能的なGABA(γ-アミノ酪酸)仲介型シナプスを形成するが、優先方向側のSACは形成しないことが報告されている。しかし、SACとDSGCの間の非対称的な配線が発生中にどのように確立されるかは明らかにされていない。今回我々は、細胞タイプ特異的に標識した遺伝子導入マウスを用い、生後第1週では、SACからDSGCへのシナプス結合は、SACがDSGCの優先方向側かヌル側のどちらに存在するかには関係なく、同等の強度を持つことを報告する。しかし、生後第2週末までに、DSGCのヌル側のSACで形成されたシナプスの強度は大幅に増強されるが、優先方向側にあるSACで形成されたものは一定に保たれる。この期間にムシモールまたはガバジンの眼内投与によって網膜活性を阻害しても、方向選択性の発達に変化は認められなかった。以上より、SACとDSGCの間で見られる非対称的抑制は、神経活動に依存せず、ヌル側に位置するSACからのGABA仲介型入力を特異的に増強する発生プログラムによって達成される。 Full Text PDF 目次へ戻る