転写後の遺伝子調節は、mRNAの3′非翻訳領域(UTR)中のエレメントを介して起こることが多い。線虫(Caenorhabditis elegans)では、3′UTRを介した遺伝子制御が極めて重要な役割を果たすことが明らかにされているが、線虫の遺伝子の大半には、注釈付けされた3′UTRが存在しない。今回我々は、ポリアデニル化されたRNA末端を高い信頼度で同定するハイスループット法について述べ、さらに、この3P-Seq(poly(A)-position profiling by sequencing)法とよばれる方法を用いて線虫の3′UTRを決定した。線虫のUTR決定に最近用いられている標準的方法と比較したところ、3P-Seqでは8,580個のUTRがさらに同定された一方で、真のUTRではないと思われる数千個の短いUTRアイソフォームが除外された。この拡張および訂正されたデータセットを解析した結果、線虫の3′UTRはA/U含量が高く、それがゲノムの凝縮を促進することが示唆されたが、これは、切断とポリアデニル化を指定するエレメントはA/Uに富むため、A/Uが豊富な領域に出現することが多いからである。実際、タンパク質コード遺伝子の30%は、末端領域が既存のものと異なり一部がオーバーラップするmRNAをもち、それによってこれまで知られていなかった10,480個の切断およびポリアデニル化部位が生じており、漸進的なUTR短縮の進化上の中間体である可能性がある。さらに、集中的に転写される遺伝子の3分の1は、オーバーラップが集中するUTRを特定するために双方向性エレメントのパリンドローム配列を用いており、このことも遺伝子間の領域を排除することによるゲノム凝縮に寄与している。線虫の3′UTRの長さの中央値は、哺乳類の3′UTRの6分の1に過ぎないが、進化的に保存されているマイクロRNA部位の密度は2倍であり、その理由の一部は、別のタイプのシード相補的部位が選択的に保存されることである。今回の知見は、ゲノム構造の進化に切断およびポリアデニル化が及ぼす影響を明らかにしており、転写後の遺伝子制御の研究に役立つリソースとなる。