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細胞:テロメラーゼの再活性化によって、テロメラーゼを欠失した老齢マウスの組織変性が回復する

Nature 469, 7328 doi: 10.1038/nature09603

世界的に高齢化が進み、臓器の機能低下を食い止め健康を保つのに役立つ可能性のある再生治療への関心が高まっている。加齢に伴う変性を引き起こす内在的な促進要因を取り除くことにより、老化によるさまざまな不調を単に食い止めるのではなく元に戻せるかどうかは、まだ明らかではない。このような促進要因の1つは、ゲノムが次第に損傷されることである。テロメラーゼ欠失マウスは、広範な内在性DNA損傷シグナル伝達の活性化が細胞や生物にもたらす悪影響を、in vivoで調べるモデル系となる。テロメアの消失と末端の露出は、組織の進行性萎縮、幹細胞枯渇、臓器不全、組織の損傷応答の異常を引き起こす。今回我々は、重度のテロメア機能障害をもつ成体マウスで、内在性のテロメラーゼ活性を再活性化することによって、確立した複数の系の変性を食い止める、あるいは、できうるならば元に戻せるかどうかを調べることにした。その目的で遺伝子操作を行って、4-ヒドロキシタモキシフェン(4-OHT)誘導性TERT-ER(telomerase reverse transcriptase-oestrogen receptor)遺伝子を、内在性TERTプロモーターによる転写制御下でノックインした。TERT-ERホモ接合マウスのテロメアは短く機能が障害されており、継続的世代内交配、または加齢に伴って、DNA損傷シグナル伝達が亢進し、古典的な変性表現型が出現する。このような後世代のTERT-ERマウスでテロメラーゼを再活性化すると、テロメアが伸長し、DNA損傷シグナル伝達とそれに伴う細胞チェックポイント応答が減少し、休止状態の培養細胞の増殖が再開し、精巣、脾臓、腸など複数の臓器での変性が消失した。注目すべきことに、体細胞テロメラーゼの再活性化により、増殖性のSox2+神経前駆細胞、Dcx+新生ニューロン、Olig2+オリゴデンドロサイト集団が回復するとともに、神経変性が元に戻った。脳室下帯の神経前駆細胞が嗅球の介在ニューロンの新生と維持に必須の役割を果たすことと一致して、このテロメラーゼに依存したニューロン新生によって嗅覚障害が軽減し、先天的な嗅覚性忌避行動が回復した。テロメアの損傷が加齢に伴う臓器の障害や疾患リスクの促進要因であることを示す証拠は増えつつあり、今回、成体マウスで全身性の変性表現型の著しい回復がみられたことから、テロメアを完全な状態に戻すような再生治療法開発は有望と思われる。

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