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生理:S-グルタチオニル化はeNOSを脱共役して、その細胞および血管での働きを調節する

Nature 468, 7327 doi: 10.1038/nature09599

内皮型一酸化窒素シンターゼ(eNOS)は血管機能調節に極めて重要である。この酵素によって一酸化窒素(NO)とスーパーオキシドアニオン(O2・−)の両方が産生され、これらは細胞内シグナル伝達の重要な仲介物質である。Ca2+/カルモジュリンの存在下では、eNOSがL-アルギニン(L-Arg)から内皮由来弛緩因子であるNOを産生する。NO産生は、NADPHからレダクターゼドメインをもつフラビンを経由して、オキシゲナーゼドメインのヘムに結合した酸素へ電子を伝達することにより行われる。また、ヘムにはテトラヒドロビオプテリン(BH4)とL-Argに対する結合部位も存在する。BH4が存在しない場合には、NOが合成されずにO2・−が産生される。酸化還元ストレスを伴う病態ではNOSの機能不全が起こるが、BH4を補充してもNOS活性とNOS依存性血管拡張が部分的にしか回復されない。このことは、NOS機能を制御する未知の酸化還元調節機構の存在を示唆している。タンパク質のチオール基は、細胞内シグナル伝達と順応にかかわる可逆的なタンパク質修飾であるS-グルタチオニル化を受けることがある。酸化ストレス状態では、S-グルタチオニル化は酸化型グルタチオンとのチオール・ジスルフィド交換、あるいはオキシダント誘発型タンパク質チイルラジカルと還元型グルタチオンとの反応により起こる。システイン残基はeNOS機能の維持に不可欠であることから、我々は、酸化ストレスがS-グルタチオニル化を介してeNOS活性に影響を与えるのではないかと考えた。本論文では、eNOSのS-グルタチオニル化が可逆的にNOS活性を低下させ、主にレダクターゼによるO2・−産生を増加させることを示す。レダクターゼの2つの高度に保存されたシステイン残基がS-グルタチオニル化にかかわる部位であることが突き止められ、eNOS機能の酸化還元調節に不可欠であることがわかった。内皮細胞におけるeNOSのS-グルタチオニル化によってNO産生低下とO2・−産生増加が起こり、これは内皮依存性血管拡張の障害につながる。高血圧血管では、eNOS S-グルタチオニル化が増加して内皮依存性血管拡張障害が起こるが、これはチオール基特異的に働く還元剤(S-グルタチオニル化を解消させる)により回復する。したがって、eNOSのS-グルタチオニル化は、細胞内シグナル伝達、内皮機能および血管緊張の酸化還元調節を行う極めて重要なスイッチといえる。

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