Letter 医学:異型ヒストンmacroH2AはCDK8の調節を介して黒色腫進行を抑制する 2010年12月23日 Nature 468, 7327 doi: 10.1038/nature09590 がんは遺伝的変化と、エピジェネティックな変化の両方から成り立っている疾患である。腫瘍の進行にはDNAメチル化などクロマチンを介する変化が伴うことを示す証拠は増えつつあるが、異型ヒストンの発がんやがんの進行における役割については今のところわかっていない。異型ヒストンはヌクレオソーム内で通常のヒストンと置換し、クロマチンに独特の生物活性を付与する。本論文では、異型ヒストンであるmacroH2A(mH2A)が悪性黒色腫の進行を抑えることを報告する。mH2Aのアイソフォームは凝縮型クロマチンに通常結合しており、発生にかかわる遺伝子の発現プログラムを微調整している異型ヒストンで、その欠失は、培養中あるいはヒト試料中の黒色腫細胞の悪性表現型の増強と正に相関している。低悪性度の黒色腫細胞でmH2Aアイソフォームをノックダウンすると、in vitroで増殖および移動能が顕著に上昇し、in vivoでは増殖、転移能が上昇する。mH2Aアイソフォームの発現を回復させると、in vitroとin vivoの両方でこのような悪性表現型が抑えられる。mH2A喪失がもたらす腫瘍促進効果が、少なくとも部分的にはCDK8の直接的転写増強によって起こることがわかった。大腸直腸がんのがん遺伝子であるCDK8の抑制は黒色腫細胞の増殖を抑制し、mH2A欠損細胞でのCDK8ノックダウンはmH2A喪失によって生じる増殖有利性を抑える。さらに、黒色腫患者標品では、mH2AとCDK8発現レベルの間に有意な逆相関がみられる。以上より、我々の結果は、mH2Aが皮膚の高度難治性腫瘍である悪性黒色腫の発生を抑制する重要なクロマチン成分であることをしている。 Full Text PDF 目次へ戻る