免疫系細胞と病原体の相互作用が起こると、炎症性遺伝子の発現が活性化される。この応答は、免疫防御には不可欠だが、炎症性タンパク質の過剰産生によりしばしば宿主にとって有害となる。炎症応答の規模は、炎症性遺伝子の上流に位置するシグナル伝達タンパク質の活性化状態およびmRNA発現を助ける核内クロマチン複合体のシグナル伝達で誘導される会合を表している。翻訳後に修飾されたヒストンの、mRNA転写開始やmRNA伸長にかかわる核タンパク質による認識は、遺伝子発現調節の非常に重要な段階である。本論文では、BET (bromodomain and extra terminal domain)ファミリータンパク質によるアセチル化ヒストン認識を妨げることにより炎症性遺伝子発現を標的とする、新たな薬理学的手法について報告する。アセチル化ヒストンを「模倣」した合成化合物のI-BETは、活性化マクロファージの重要な炎症性遺伝子の発現にかかわるクロマチン複合体を破壊し、また、リポ多糖による内毒素ショックや細菌による敗血症に対して防御効果を発揮することを示す。我々の知見は、翻訳後に修飾されたヒストンを認識するタンパク質を特異的に標的とする合成化合物が、次世代の免疫調節薬となる可能性を示している。