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医学:mTORC1は飢餓誘導性のケトン体生成およびその加齢による変化を制御する

Nature 468, 7327 doi: 10.1038/nature09584

多数の構成要素からなるmTORC1(mechanistic target of rapamycin complex 1)キナーゼは、栄養素、エネルギーおよび増殖因子の入手可能性に応じて細胞の増殖を調節する、哺乳動物の1経路の中心となる交点である。mTORC1経路の構成要素の同定およびその細胞内での機能の解明は進展したが、それに比べてin vivoでのこの経路の役割については解明が進んでいない。特に、mTORC1の肝臓における生理学的な役割に関する知見はほとんどない。飢餓状態にある動物では、末梢組織がエネルギー源として使うケトン体の産生など、全身の恒常性を維持するための多くの機能を肝臓が担っている。本論文では、mTORC1がマウスで飢餓に対応してケトン体生成を制御することを示す。mTORC1阻害剤の1つであるTSC1(tuberous sclerosis 1)の肝臓特異的な欠失が、肝臓サイズの絶食抵抗性増大、および飢餓時のケトン体産生とケトン体生成遺伝子の発現の顕著な障害につながることがわかった。mTORC1複合体の不可欠な成分の1つであるraptor(regulatory associated protein of mTOR, complex 1)の欠失は、それとは逆の効果がある。さらに、ケトン体生成遺伝子の主要な転写活性因子であるペルオキシソーム増殖活性化受容体α(peroxisome proliferator activated receptor α;PPARα)の飢餓誘導性活性化にはmTORC1の阻害が必要であること、そしてmTORC1シグナル伝達が過剰に活性化した細胞および肝臓で、PPARαのコリプレッサーの1つであるNCoR1(nuclear receptor co-repressor 1)を抑制すると、ケトン体生成が再活性化することも明らかにする。mTORC1が活性化された肝臓と同じく、高齢マウス由来の肝臓ではケトン体生成が障害されており、これはmTORC1シグナル伝達の増大と相関している。さらに我々は、PPARα活性とケトン体産生に対するmTORC1活性化および老化の抑制効果は相加的ではなく、mTORC1の阻害のみで、加齢によるケトン体生成の障害を十分に防げることを示す。したがって、我々の結果は、mTORC1はPPARα機能および肝臓のケトン体生成の主要な調節因子の1つであることを明らかにしており、肝臓の老化にmTORC1活性が役割を果たしていることを示唆している。

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