Letter 生化学:mRNAの5′末端キャップ構造形成における品質管理機構の同定 2010年9月30日 Nature 467, 7315 doi: 10.1038/nature09338 真核生物のメッセンジャーRNAの5′末端に結合する7-メチルグアノシンキャップ構造は、mRNAの安定性と翻訳効率を左右する極めて重要な決定因子である。5′末端のキャップ形成は、mRNAの成熟時に恒常的に行われる過程であり、その正確性を保証するための品質管理機構を必要としないと広く考えられている。最近我々は、酵母のRai1タンパク質は、5′末端にキャップ構造をもたないmRNAに対するピロホスホヒドロラーゼ活性をもつことを報告した。今回我々は、in vitroでも酵母細胞でも、Rai1はキャップ構造を除去する新規エンドヌクレアーゼ活性をもち、mRNAからのキャップ構造ジヌクレオチド全体の除去も可能であることを報告する。古典的なキャップ除去酵素Dcp2は、キャップがメチル化されているmRNAを標的とするのに対し、この酵素は、キャップがメチル化されていないmRNAを選択的に標的とする。メチルトランスフェラーゼ遺伝子を欠失する酵母細胞で生成され、メチル化されていないキャップ構造をもつmRNAは、rai1遺伝子を破壊した条件下ではより安定である。さらに、野生型のキャッピング酵素群を有するrai1Δ酵母細胞では、グルコース飢餓またはアミノ酸飢餓の栄養ストレス下で、5′末端のキャップ構造をもたないmRNAが著しく蓄積する。これらの知見は、5′末端でのキャップ形成は、mRNAの完成に常に必須とされる恒常的過程ではないことを示し、Rai1は5′末端キャップ構造に異常があるmRNAの除去に不可欠な役割を担っていることを立証している。我々は、Rai1はまだ特性が明らかにされていない品質管理過程に関与し、異常なキャップ構造を対象としたmRNA分解機構によってmRNAの5′末端の完全性を保証していることを示す。 Full Text PDF 目次へ戻る