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生化学:H2の生産を伴った、ギ酸をエネルギー源とする成長

Nature 467, 7313 doi: 10.1038/nature09375

ギ酸と水を炭酸とH2に変換する反応(ギブズ自由エネルギー変化ΔG0 = +1.3 kJ mol−1)は、嫌気的条件下では広くみられる反応だが、微生物の生育を維持するにはエネルギー的に不十分だと考えられてきた。最近、Moorellaに属するAMP株と水素を消費するMethanothermobacter種の栄養共生群、Desulfovibrioに属するG11株とMethanobrevibacter arboriphilus AZ株との栄養共生群で、ギ酸に依存した生育の実験的証拠が得られている。ギ酸を利用した生育が持続できるのは、メタン生成菌によるH2の消費によりH2分圧が下がり、系がエネルギーを発生する(発エルゴン反応)ようになるからだと説明されている。しかし、単一の微生物がギ酸を炭酸とH2に変換することにより生育できる例は見つかっていなかった。今回我々は、Thermococcusに属する数種類の超好熱古細菌が、ギ酸を酸化し、H2を発生して生育できることを明らかにする。ギ酸代謝の実際のΔG値を算出すると、Thermococcus onnurineus NA1株が生育する生理的条件下では、−8〜−20 kJ mol−1であった。さらに、エネルギー源としてギ酸しか存在しない状態で、ATPの合成が検出された。遺伝子発現プロファイリングと遺伝子破壊によって、ギ酸水素リアーゼ、カチオン/プロトン交換輸送体、ギ酸輸送体をコードする遺伝子クラスターが同定され、これらがT. onnurineus NA1のギ酸に依存した生育を支えていることが明らかになった。今回の研究によって、単一微生物のプロトンを電子受容体としたギ酸による生育と、この能力の生化学的基盤が明らかになる。

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