Letter 地球:山脈形成に対する氷河の破壊的および建設的制御 2010年9月16日 Nature 467, 7313 doi: 10.1038/nature09365 理論解析では、新生代後期の全球寒冷化に関連して浸食が増大したことは、山脈形成の内部力学過程に一次的な影響を及ぼし、造山帯の幅と高さを減少させ得たと予想されている。高山の氷河浸食が極めて効率よく働く造山帯で最も強い応答があり、増大した浸食の特徴的パターンを造山帯の風上斜面に作り出し、最高高度は、長期にわたる氷河の質量増加と損失が釣り合っている氷河平衡線高度に支配されると予測される。しかし、全球気候寒冷化に対する活発なテクトニクス応答の野外調査による決定的証拠は、なかなか見つからなかった。本論文では、高緯度域の活動的造山帯で新生代後期のテクトニクス、気候、氷河の歴史がよくわかっているパタゴニア・アンデス山脈で得られた、広範な新しい低温温度年代データセットを提示する。南緯38〜49度のデータは、主要なパタゴニア氷河形成の開始と最東部衝上断層帯前縁からの変形の後退と同時期の7 Myr〜5 Myr前に、浸食が顕著に加速したことを記録している。浸食速度が氷のすべり速度の関数となっている、氷河で覆われた臨界尖形造山帯のモデルで予測されているように、造山帯西側の風上斜面では浸食の最大速度と規模は氷河平衡線高度によって制約されている。対照的に、高緯度域(南緯49〜56度)に向かってより年代の古い基盤岩の寒冷化年代へ移行していることは、中新世最後期以来ここでは氷河条件が支配的であったにもかかわらず、新生代後期の浸食が減少したことを示している。このような緯度域で造山帯の境界線高度が平衡線高度よりもはるか上に上昇していることから、パタゴニア・アンデス山脈最南端部は、活動的造山帯が浸食から地域的な氷河によって守られて、造山帯の高度と幅が建設的に増大したことがわかった初めての例であると結論できる。 Full Text PDF 目次へ戻る