Article 細胞:MICU1はCa2+取り込みに必要なミトコンドリアのEFハンドタンパク質をコードする 2010年9月16日 Nature 467, 7313 doi: 10.1038/nature09358 ミトコンドリアのカルシウム取り込みは、ATP産生の誘発、細胞質カルシウム濃度変化の決定、細胞死の制御により、細胞生理の中心的役割を果たす。ミトコンドリアでのカルシウム取り込みの生物物理学的な特性は詳細に検討されているが、基盤となるタンパク質は不明のままである。今回我々は総合的戦略を用い、比較生理学、進化ゲノミクス、および細胞小器官プロテオミクスから得られた手がかりをもとにして、ミトコンドリアのカルシウム流入にかかわるヒト遺伝子を予測した。13の上位候補に対するRNA干渉法から、CBARA1という1つの遺伝子が浮かび上がった。我々は、今後この遺伝子をMICU1(mitochondrial calcium uptake 1)とよぶ。無傷あるいは透過性にした細胞では、MICU1のサイレンシングによりミトコンドリアの呼吸や膜電位は障害されないが、ミトコンドリアのカルシウム流入が消失し、細胞質のカルシウム濃度変化と基質の脱水素酵素の活性化との間の代謝的共役が減弱する。MICU1はミトコンドリア内膜に結合し、自身の活性に不可欠な標準的EFハンドを2つもつことから、カルシウム感知への関与が示唆される。MICU1は、高容量のミトコンドリアカルシウム取り込みに必要なタンパク質群の初のメンバーである。今回の発見により、ミトコンドリアカルシウム取り込み経路の分子特性が完全に解明される可能性があり、こうした経路の正常な生理および疾患における役割を理解するための遺伝学的戦略が示される。 Full Text PDF 目次へ戻る