Letter 細胞:Notch経路とEGFR経路の相互作用によって神経幹細胞の数と自己複製が調節される 2010年9月16日 Nature 467, 7313 doi: 10.1038/nature09347 特殊化した細胞微小環境、つまり「ニッチ」によって、細胞数、自己複製および運命決定などの幹細胞の状態が調節される。成体脳では、神経幹細胞(NSC)と神経前駆細胞(NPC)の供給源を維持するニッチは、側脳室の脳室下帯(SVZ)や海馬歯状回である。SVZのNSC集団の大きさは、どの時点でも、自己複製、細胞分化および細胞死などのいくつかの進行中の過程の結果を反映している。SVZニッチにおけるNSCとNPC間のバランスの維持は、正常条件下でも、損傷後でも、脳に特定の神経細胞集団を供給するために重要である。中枢神経系における正常発生や細胞を基盤とした修復戦略の両方にかかわる基本的な疑問は、NSCやNPCという異なる細胞集団のバランスがニッチでどのように維持されているのかということである。EGFR(上皮増殖因子受容体)とNotchシグナル伝達経路は、多細胞生物の発生過程で必須の役割を担っている。ショウジョウバエ(Drosophila)や線虫(Caenorhabditis elegans)では、これらの経路は協調的な機能、あるいは拮抗的な機能のどちらかを担っている可能性がある。SVZでは、NotchはNSC性と自己複製を調節するが、EGFRは特異的にNPCの増殖と移動に影響を与える。このことから、これら2つの経路の相互作用がNSC数とNPC数の間のバランスを維持しているのではないかと考えられる。本論文では、EGFRとNotchのシグナル伝達を介する、NPCとNSCとの機能的な細胞間相互作用が、SVZでのこれらの細胞集団間のバランスの維持に重要な役割を担っていることを示す。in vivoでEGFRシグナル伝達が増強すると、NPCプールの増殖が起こり、NSCの数が減少して自己複製が低下する。これは、EGFRを介するNotchシグナル伝達の調節が関与する非細胞自律的な機構によって起こる。今回の知見から、成体SVZでEGFR経路とNotch経路間の新しい相互作用が明らかになり、その結果、NSCやNPCプールを維持する機構が示される。 Full Text PDF 目次へ戻る