Letter

工学:サブナノメートルトランス電極膜としてのグラフェン

Nature 467, 7312 doi: 10.1038/nature09379

原子1個分程度の厚さの独立した導電性グラファイト膜はグラフェンとよばれ、エレクトロニクスからエネルギー科学に至るさまざまな分野での実用化が期待されて、最近盛んに研究が行われている。グラフェンは原子レベルの薄さをもち、安定であり、電気的に敏感であるため、グラフェン膜やグラフェンナノ細孔が、イオン溶液中のDNA単一分子の特性評価に使えるかどうかについて調べた。本論文では、グラフェン層をイオン溶液に浸すと、我々がトランス電極(trans-electrode)とよぶ、新しい電気化学的構造をとるようになることを示す。トランス電極の独自の特性は、グラフェン両表面の液体–固体界面が原子スケールにまで近づいたことと、グラフェンのよく知られた面内導電性とによる。トランス電極のいくつかの特性は、2つのイオン性水溶液を隔てるグラフェン膜のイオン伝導度測定によって明らかにされる。この膜は原子1個または2個分の厚さしかないが、溶液中のイオン種に依存する、非常に低い安定した伝導度をもつ優れたイオン絶縁体であることがわかった。単一のナノ細孔を開けたグラフェン膜での電気的測定から、膜の実効絶縁厚が1ナノメートル未満であることが示された。この小さい実効厚によって、グラフェンは、分解能が非常に高く、ハイスループットでナノ細孔を利用する単一分子検出器用の理想的な基材となる。グラフェンの面内電子伝導性は、ごく近傍の表面環境と膜を横切る溶液ポテンシャルに対して敏感なので、原子レベルの表面過程やセンサー開発への新しい手がかりが得られるだろう。

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