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細胞:HAATIにより生存する細胞では標準的なテロメアの代わりに一般的なヘテロクロマチン区画が使われる

Nature 467, 7312 doi: 10.1038/nature09374

線状の染色体にテロメアが不可欠であるという考え方は、2つの重要な危険が存在することに由来している。すなわち、不適切なDNA損傷応答(DDR)反応により正常な染色体末端をDNA二本鎖切断(DSB)箇所と見誤ってしまうことと、末端複製障害によって染色体末端のDNAが徐々に失われていくことである。テロメアは、結合配列特異的な末端保護因子を結合してDDR活性の開始を制御することで、前者の危険を回避する。後者の脅威はテロメラーゼの動員によって克服される。逆転写酵素であるテロメラーゼは、自己のRNAサブユニットを鋳型として用いて、染色体末端にテロメア反復配列を付加していく。今回我々は、線状染色体を維持するもう1つのやり方である、標準的なテロメアの代わりにヘテロクロマチン区画を用いる方法について述べる。分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)の細胞はテロメラーゼが存在しない場合でも、ヘテロクロマチン配列を絶えず増幅させて再編成することにより、テロメア配列を失っても生存できることを示す。この生存様式にはヘテロクロマチン構築装置が必要であることから、我々はこれを「HAATI」(heterochromatin amplification-mediated and telomerase-independent)と命名した。HAATIは、標準的な末端保護タンパク質Pot1と、その結合相手であるCcq1を用いて染色体線状構造を維持する。このデータから、Ccq1は増幅されたヘテロクロマチンによって動員されてPot1を係留し、Pot1は自身と同種のDNA結合配列が存在しなくても、末端保護機能を発揮するというモデルが示唆される。HAATIは、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)で見つかった染色体末端維持戦略と類似している。ショウジョウバエでは特異的なテロメア配列がないにもかかわらず、末端保護因子を動員する末端ヘテロクロマチン構造が構築される。今回の研究は、これまで知られていなかった方法によって、がん細胞はテロメラーゼ活性化を必要としなくなっている可能性があり、この知見は、ヘテロクロマチン化が異常に高レベルで持続されているゲノムを研究する手段となる。

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