Letter 遺伝:胚性幹細胞での相同組み換えによるp53遺伝子ノックアウトラットの作製 2010年9月9日 Nature 467, 7312 doi: 10.1038/nature09368 胚性幹細胞(ES細胞)での相同組み換えによる遺伝子改変は、遺伝子機能の解明や疾患モデルの作製で、強力な手段となる。ラットには生殖系列に分化可能なES細胞がなかったため、ラットでこの技術を遺伝子操作に用いることは、これまで不可能だった。我々は最近、ラットの信頼できるES細胞を樹立した。本研究では、ES細胞における遺伝子ターゲッティング技術を用いた遺伝子ノックアウトラットの作製について報告する。相同組み換え法によりラットES細胞で、腫瘍抑制遺伝子p53(別名Tp53)を破壊するための遺伝子ターゲッティングベクターを設計した。p53遺伝子を標的としたラットES細胞は、常法で作製できる。また、ラットES細胞ゲノムのp53遺伝子を標的とした変異は、ES細胞キメラ個体の生殖系列を介して次世代に伝えられ、p53遺伝子ノックアウトラットが作製できる。ラットは生物学研究で最も広く使われている動物モデルである。今回、ラットES細胞で遺伝子ターゲッティング技術が確立され、これにラットにおけるゲノミクスの進歩と膨大な生理学・薬理学研究データが合わされば、ヒト疾患研究の新しい強力な研究基盤となるだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る