Letter 物理:グラフェン四重項の高分解能トンネル分光 2010年9月9日 Nature 467, 7312 doi: 10.1038/nature09330 グラフェン単一シートの電子は、従来の二次元電子系の電子とは全く異なった振る舞いをする。グラフェンの電子は、質量のない相対論的粒子のように線形分散を示し、カイラル固有状態をとる。さらに、逆格子空間の異なる点(「谷」)にある2組の電子がこの分散を示し、谷縮退を引き起こす。谷の間の対称性は、スピン対称性とともに、ランダウ準位の四重の四重項縮退をもたらし、これは印加磁場によって生じる状態密度のピークとして観測される。最近の電子輸送測定では、非常に大きい印加磁場において四重縮退の持ち上がりが観測され、四重項が整数準位に、さらに最近では分数準位に分裂するのが観測されている。ランダウ準位内に形成され、これらの縮退を持ち上げる対称性の破れ状態の正確な性質は、現時点ではっきりしておらず、理論に関した活発な議論の的となっている。今回我々は、縮退グラフェンランダウ準位を構成する4つの量子状態の詳細な特徴について研究を行った。印加磁場中で10 mKという低温において高分解能走査トンネル分光法を利用し、多層エピタキシャル・グラフェンの最上層を調べた。フェルミ準位が四重ランダウ多様体の内部にある場合、偶数充填率では大きな電子相間効果が谷分裂を増強する結果となり、奇数充填率では電子スピン分裂が増強される。最も意外なのは、ランダウ準位充填率7/2、9/2および11/2の状態が観測されたことである。これは、グラフェンにおける新しい多体状態を示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る