Letter 気候:ヤンガードライアス亜氷期におけるニュージーランドでの氷河の後退 2010年9月9日 Nature 467, 7312 doi: 10.1038/nature09313 両半球の高緯度域における千年スケールの寒冷反転によって、完全な氷期の気候条件から間氷期の気候条件への最後の遷移が中断された。ヤンガードライアス亜氷期(約12.9〜11.7 kyr前)の存在は、北半球の大部分で立証されているが、この事象の全球的なタイミング、性質、地理的な広がりはよくわかっていない。特に、南半球の中緯度域から低緯度域における証拠は、不可解なところが多い。論争の焦点の1つは、ニュージーランドの山岳氷河の振る舞いで、これまでの研究では、氷域面積の増加または減少の正確なタイミングについて、どちらともとれる証拠が見つかっている。したがって、ヤンガードライアス期の気候システムの両半球間の振る舞いは未解決の問題であり、この期間における全球的な気候動態の現実的なモデルの定式化を根本的に難しくしている。本論文では、今から約13 kyr前のヤンガードライアス期の開始時期から、ほぼ1.5 kyrにわたってニュージーランドの氷河が総じて後退したことを示す。我々の証拠は、詳細な地形図作製、高精度の10Be年代、保存状態の良い圏谷のモレーンから得られたかつての氷域と雪線の復元に基づいている。我々の晩氷期の氷河編年は、南極大陸の気候の変化傾向、南大洋の振る舞い、大気中CO2変動と一致している。こうした証拠は、ヤンガードライアス期における南半球中緯度域の大気の明確な温暖化と、ニュージーランドの雪氷圏と南半球高緯度域の気候の密接な結合を示している。これらの知見は、北大西洋における冬の海氷拡大および南北方向海洋鉛直循環の抑制によって、晩氷期に両半球間の大きな温度勾配が生じ、次に、南大洋の湧昇が増加してCO2が放出され、その結果、北半球のヤンガードライアス期に南半球の温暖化が始まったという仮説を裏付けている。 Full Text PDF 目次へ戻る