Letter 構造生物学:CaiTでのNa+に依存せず協同的な基質/生成物対向輸送の構造基盤 2010年9月9日 Nature 467, 7312 doi: 10.1038/nature09310 生体膜を介する溶質の輸送は、脂質二重層中の特殊化した二次性輸送タンパク質により行われ、生命に必須である。今回我々は、ナトリウム非依存性のカルニチン/ブチロベタイン対向輸送体CaiTについて、細菌Proteus mirabilis由来のPmCaiTの分解能2.3Åでの構造と、大腸菌(Escherichia coli)由来のEcCaiTの分解能3.5Åでの構造を報告する。CaiTは、ベタイン/カルニチン/コリン輸送体(BCCT)ファミリーに属し、このファミリーの多くはNa+やH+依存性であるが、EcCaiTはNa+およびH+に非依存性である。CaiTの三次元構造は、Na+依存性の輸送体であるLeuTとBetPに似ているが、CaiTではメチオニンの硫黄原子がNa+イオンの位置を占めており、中央の輸送部位に基質を配位していて、Na+非依存性の輸送を説明できる。これら2つのCaiTの構造は共に、完全に開いた内向きのコンホメーションを示していて、そのため基質が交互に接近する機構を記述する機能状態全部がそろっている。EcCaiTは、結合したブチロベタイン基質分子2つを含んでいて、1つは中央の輸送部位に、もう1つは細胞外の結合ポケットにある。PmCaiTの構造では、トリプトファンの側鎖が輸送部位を占有しており、細胞外部位への接近が妨げられている。プロテオリポソームに再構成されたCaiTでは、CaiTへの両方の基質の結合は協同的で、ヒル係数は最大1.7であり、細胞外部位が調節性であることを示している。調節性部位に基質が結合すると輸送部位の結合親和性が上昇し、基質の転位が開始されるという機構を、我々は提案する。 Full Text PDF 目次へ戻る