Letter

宇宙:明るい炭素星からの炭素微粒子のアウトフロー中の温かい水蒸気

Nature 467, 7311 doi: 10.1038/nature09344

水は炭素の豊富な星にはほとんど存在していないと予測されていたので、老いた炭素星IRC+10216周辺で星周水蒸気が検出されたことは、古い星の化学的性質に関する現在の理解にとっての難問となっている。この水についてはいくつかの説明が考えられており、その中には星の周囲を軌道運動する凍った天体(彗星あるいは矮惑星)の蒸発、粒子表面反応、外側の星周エンベロープにおける光化学反応などが含まれる。炭素を豊富に含む進化したこの星1つだけで、水の輝線1本のみが検出されているという現状では、提案された多様な機構の可否を見分けることは難しい。本論文では、ハーシェル宇宙望遠鏡によって、IRC+10216の遠赤外線とサブミリメートル波長でのスペクトルに水蒸気の多数の輝線が検出されたことを報告する。これには約1,000 Kに相当するエネルギーをもつ高励起線が数本含まれており、これらは、エンベロープの内側の温かく炭素微粒子の多い領域に水が存在すると考えた場合にのみ、説明可能である。温かい水についての妥当と思われる説明は、塊状の星周エンベロープの深部に紫外光子が侵入するというものだろう。この機構は、アンモニアなどのほかの分子の形成も引き起こすが、観測されたアンモニア存在量はこれまで予想されていたよりもかなり高い。

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