Letter 医学:γ-セクレターゼ活性化タンパク質はアルツハイマー病の治療標的となる 2010年9月2日 Nature 467, 7311 doi: 10.1038/nature09325 神経毒であるアミロイドβの蓄積は、アルツハイマー病における最も顕著な特徴である。アミロイドβの形成は、非常に多くの基質をもつプロテアーゼであるγ-セクレターゼの触媒による。どんなものにも作用する可能性があるこの酵素に基質特異性をもたせる分子機構については、ほとんどわかっていない。この選択性の基盤となる機構について理解することは、臨床効果のあるγ-セクレターゼ阻害薬、すなわち、γ-セクレターゼのそのほかの基質、特に正常な生体機能に必須なノッチの切断を阻害せずに、アミロイドβ産生を低下させることができる薬剤の開発に極めて重要である。今回我々が発見した新しいγ-セクレターゼ活性化タンパク質(GSAP)は、γ-セクレターゼとその基質であるアミロイド前駆体タンパク質カルボキシ末端フラグメント(APP–CTF)の双方との相互作用が関与する機構を介して、アミロイドβの産生を強力かつ選択的に増加させる。GSAPはノッチとは相互作用せず、その切断にも影響を及ぼさない。組み換え型のGSAPは、in vitroでのアミロイドβの産生を促進する。細胞株でGSAP濃度を低下させると、アミロイドβの濃度が低下する。GSAPをノックダウンしたアルツハイマー病モデルマウスでは、アミロイドβが減少し、プラークの成長が抑制される。GSAPは一種のγ-セクレターゼ調節因子として作用し、特定の基質と相互作用して酵素に特異性をもたらす。ノッチの切断に影響を及ぼさずに、アミロイドβ産生を阻害することが既に明らかにされている抗がん剤イマチニブは、γ-セクレターゼの基質であるAPP–CTFとGSAPとの相互作用の阻害により、アミロイドβ低減作用を示すことを我々は明らかにする。以上よりGSAPは、γ-セクレターゼのほかの重要な機能に影響を及ぼすことなく、アミロイドβを低減させるための治療標的となる可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る