Letter 医学:神経疾患変異はNa+/K+-ATPアーゼのC末端イオン経路を障害する 2010年9月2日 Nature 467, 7311 doi: 10.1038/nature09309 Na+/K+-ATPアーゼはポンプとして働き、ATPを1分子分解するごとに、3個のナトリウムイオンを細胞外へ、2個のカリウムイオンを細胞内へ運び、それにより細胞膜を挟んだ化学的および電気的勾配を作り出す。この勾配は、動物細胞でのシグナル伝達や二次輸送、体積制御などに必須である。このポンプのカリウム結合型の結晶構造から、膜貫通ドメインにαサブユニットカルボキシ末端が密接に付着していることが明らかになった。今回我々は、この構造要素が、今まで認識されていなかったイオン経路の重要な調節因子であることを示す。P型ATPアーゼの現在のモデルは、ポンプを通る単一のイオン経路によって作動するものだが、我々のデータは、Na+/K+-ATPアーゼのイオン結合部位と細胞質の間にある、もう1つ別の経路の存在を示唆している。このC末端経路により、細胞質のプロトンが、カリウム結合状態では空になっている部位IIIに入って安定化させることが可能となり、カリウムが放出されると、プロトンも細胞質に戻って、輸送イオン全体の化学量論的な非対称性を可能としている。C末端は、この経路へのゲートを制御している。この構造はポンプ機能にとって極めて重要で、それはこの領域の少なくとも8つの変異が重度の神経疾患を引き起こすことにより明らかである。Na+/K+-ATPアーゼによるイオン輸送のこの新規モデルは、家族性片麻痺性片頭痛2型(FHM2)のC末端変異の電気生理学研究で確実になり、さらに、分子動力学シミュレーションによって立証された。同様のイオン調節は、H+/K+-ATPアーゼやCa2+-ATPアーゼへも適用可能だろう。 Full Text PDF 目次へ戻る