Letter

免疫:IκBβは炎症応答の際に遺伝子発現の抑制と活性化の両方に働く

Nature 466, 7310 doi: 10.1038/nature09283

NF-κB(nuclear factor-κB)による炎症性遺伝子プログラムの活性化は、主にIκB(inhibitor of κB)ファミリータンパク質によってNF-κBを細胞質内へ隔離することによって調節されている。IκBの主要なアイソフォームであるIκBβはNF-κBを細胞質に隔離しておくことができるが、その生物学的な役割は明らかになっていない。IκBβ欠失細胞は報告されているが、in vivoでの研究は限られており、またIκBαと IκBβとの間の機能重複も示唆されている。IκBαのように、IκBβも分解が誘導されうる。しかし、リポ多糖(LPS)による刺激の際には、その分解は遅く、低リン酸化状態型として再合成されたものが核内で検出される。p65に結合したIκBβの結晶構造から、この複合体がDNAに結合する可能性が示唆された。in vitroで低リン酸化状態のIκBβは、p65およびc-Relと共にDNAに結合でき、DNAに結合したNF-κB:IκBβ複合体はIκBαに対して抵抗性なので、低リン酸化型の核内IκBβはいくつかの遺伝子群の発現を長引かせる可能性が考えられる。本論文では、IκBβがin vivoで炎症応答の抑制と促進の両方の働きをしていることを報告する。IκBβの分解により、NF-κB二量体が遊離するが、これは腫瘍壊死因子α(TNF-α)のような炎症誘発性標的遺伝子の発現を増加させる。意外にも、IκBβが存在しない場合はNF-κBの活性化は正常であるにもかかわらず、LPSに応じて生じるTNF-αが顕著に減少する。TNF-αメッセンジャーRNA (mRNA)の発現抑制と相関して、TNF-αプロモーターの特異的なκB部位に、p65:c-Relヘテロ二量体に結合した核内低リン酸化型IκBβがみられなくなる。その結果、IκBβ−/−マウスはLPS誘導性の敗血症性ショックおよびコラーゲン誘導関節炎に対して抵抗性となる。IκBβの抑制は、炎症誘発生応答の際の慢性的なTNF-α産生を選択的に抑制するための新しい戦略として有望と考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度