Letter 生化学:脈管系に重要で力学的に安定な受容体–リガンドの適応性のある結合 2010年8月19日 Nature 466, 7309 doi: 10.1038/nature09295 フォンビルブラント因子(VWF)の血小板への結合によってもたらされる細動脈循環での止血は、細胞に働く強力な流体力学的力に耐えなければならない接着性相互作用の一例である。VWFは、鎖状につながった多機能タンパク質で、血小板だけでなく内皮下コラーゲンに対する結合部位ももつ。VWFのA1ドメインが、血小板表面糖タンパク質のIbαサブユニット(GPI bα)と結合すると血小板どうしの架橋が起こり、細動脈での血小板血栓形成につながる。VWFの重要性は、出血性体質の1つであるフォンビルブラント病でVWFに変異が生じていることから明らかである。本論文では、A1–GPIbα結合が力に耐えるために、機械化学的に今まで知られていなかった特殊化を起こしていることを報告する。我々は、単一分子での受容体とリガンドの結合と解離を繰り返し測定できる方法を初めて開発した。これを使って、受容体とリガンドの結合は2つの状態をもつこと、つまり適応性のある結合であることを実証した。第一の状態は張力が低い場合にみられ、第二の状態は10 pNの力がかかったときに作動し始めて、寿命はほぼ20倍長く、より大きな力耐性をもつ。これら2つの状態の寿命、力を寿命を換算する仕組み、および2つの状態間の切り替えの動態すべてが測定された。この系に関して初めて行われた1分子測定の結果は、バルク相での計測と一致する。以上の結果は、VWFに結合した血小板が力に対抗して細動脈に血栓を形成する仕組みだけでなく、流速の増加が血栓形成を活性化する仕組みにも重要なかかわりがある。 Full Text PDF 目次へ戻る