Letter 細胞:微小環境による、胸腺上皮細胞から皮膚多能性幹細胞への再プログラム化 2010年8月19日 Nature 466, 7309 doi: 10.1038/nature09269 胸腺は前腸の第3咽頭嚢から発生し、胸腺リンパ球形成(thymopoiesis;胸腺細胞が成熟Tリンパ球へと分化する過程)および自己寛容の形成と維持に必要な環境を与える。胸腺に含まれる胸腺上皮細胞(TEC)は、皮質と髄質に分かれる複雑な三次元ネットワークを構成しており、この構造は単層もしくは重層上皮とは著しく異なっている。TECは、自己免疫調節因子Aireの発現を介して、自己寛容性の胸腺細胞の生成に不可欠な役割を担っているが、TECへの細胞運命指定や維持に関係する機序は明らかになっていない。胸腺と皮膚は発生学的な起源が異なっている(それぞれ内胚葉性と外胚葉性)にもかかわらず、胸腺髄質の一部の細胞は重層上皮のマーカーを発現しており、無差別遺伝子発現と解釈される。本論文では、ラット胸腺にはクローン原性をもつTECの集団が含まれており、これらは長期培養が可能である一方、胸腺上皮ネットワークに組み込まれる能力および主要組織適合複合体クラスII(MHC II)分子およびAireを発現する能力を保持し続けることを示す。これらの細胞は、皮膚誘導性の微小環境にさらされると、不可逆的に毛嚢の多能性幹細胞の運命をもつことができる。この運命の変化は、遺伝子発現のロバストな変化と相関している。したがってこの場合、微小環境の合図のみで、上皮細胞の運命へ方向転換するのに十分であり、原始的な胚葉の境界を越えて、分化能を高めることを可能にする。 Full Text PDF 目次へ戻る