Letter 医学:ヒト結核における好中球が産生するインターフェロン誘導性血中転写シグネチャー 2010年8月19日 Nature 466, 7309 doi: 10.1038/nature09247 Mycobacterium tuberculosisの感染によって起こる結核(TB)は、世界中で主要な病因および死因となっている。診断、予防および治療が困難なために、結核の蔓延を防ぐ努力はなかなか前に進まない。結核感染者の大半は無症候性のまま潜在性結核となり、活動性の結核へ進行する生涯リスクは10 %である。しかし、現行の検査法では、どの患者が発症するかはわからない。結核菌に対する免疫応答は複雑で、その全容がまだ解明されていないため、新規の診断法、治療法およびワクチンの開発が妨げられている。今回我々は、蔓延度が中程度および高度のセッティングにおける活動性結核患者の全血での393個の転写シグネチャーを明らかにする。これはX線写真上の病巣の範囲と相関するもので、治療後には健常対照者のものと同等にまで回復する。一部の潜在性結核患者のシグネチャーは、活動性結核患者と類似している。また、活動性結核とその他の炎症性および感染性疾患を識別する86個の特異的な転写シグネチャーを明らかにする。モジュール解析およびパスウェイ解析の結果、結核のシグネチャーは、IFN-γおよびI型IFN-αβの両方のシグナル伝達からなる、好中球によって産生されるインターフェロン(IFN)を誘導する遺伝子プロファイルを特徴とすることが明らかになった。純化細胞の転写物のシグネチャー、並びにフローサイトメトリー解析の比較では、この結核のシグネチャーが細胞構成の変化および遺伝子発現の変更を表していることを示唆している。IFN誘導性のシグネチャーは、全身性エリテマトーデス(SLE)患者の全血でも認められたが、その完全モジュールの分子シグネチャーは結核とは異なり、形質細胞の転写物が増加していた。我々の研究は、結核の病因にこれまで考慮されていなかったI型IFN-αβのシグナル伝達が役割を果たしていることを示しており、これはワクチンおよび治療法の開発に関係する。さらに我々の研究は、結核の流行と戦ううえで、診断や予後判定に役立つ手段として使える可能性のある広範な転写バイオマーカーを明らかにしている。 Full Text PDF 目次へ戻る