Letter 生態:負の植物–土壌フィードバックは熱帯林の樹木種の相対的数度を予測する 2010年8月5日 Nature 466, 7307 doi: 10.1038/nature09273 植物成体の周囲に種特異的な敵が集積することは、異種の実生よりも同種の実生の加入のほうを多く制限し、それによって植物の多様性が維持されると考えられている。森林生態系についての従来の研究では、この負のフィードバック過程と一致するパターンが立証されているが、これらの研究では、負のフィードバックを生ずるのに十分な強度の種特異的作用を示すのがどのような敵(病原体、無脊椎動物、哺乳類など)であるのか、また、1本の樹木レベルの負のフィードバックが全群集的な森林構成に影響を及ぼすのに十分であるのか、という問題に取り組めていない。今回我々は、完全な相互交換実験をシェードハウス内および野外で行って、成木に付随する敵の存在下で生育した場合に同種樹木の実生の生育能力が(異種の実生と比べて)低下するかどうかを調べた。どちらの実験でも、土壌生物相が関与する負の植物–土壌フィードバックを示す強力な証拠が得られた。逆に、地上の敵(哺乳類、食葉性動物、および葉につく病原体)は、野外でみられる負のフィードバックにほとんど寄与しなかった。両方の実験で、より強力な負のフィードバックを示す樹木種ほど、森林群集内でみられる成木の数が少ないことがわかり、このような熱帯林では土壌生物相への感受性が種の相対的数度を決定付けている可能性が示唆された。また、我々のシミュレーションモデルでは、測定した局地的な負のフィードバックの強度が、樹木種の相対的数度について観察された全群集的パターンを生ずるのに十分であることが確認された。今回の知見は、植物–土壌フィードバックが種の多様性を維持する重要な機構の1つであることを示し、熱帯林の樹木種にみられる相対的数度パターンを説明している。 Full Text PDF 目次へ戻る