Letter ネットワーク理論:リンクコミュニティーが示すネットワークの多重スケール複雑性 2010年8月5日 Nature 466, 7307 doi: 10.1038/nature09182 ネットワークは、生物やヒトの社会などでみられる多様な現象の研究を統一し、相互作用する物体が作る系を理解するための重要な方法論となっている。ネットワークの構造と動態を研究する際の重要な手順の1つが、コミュニティー、つまりタンパク質複合体とか社会的領域といった機能的な副次的単位に相当する、関連のあるノードをもつグループの特定である。ネットワーク中のコミュニティーは重なり合うことが多く、ノードが同時にいくつかのグループに属するようになる。一方、多数のネットワークが階層構造をもつことが知られており、コミュニティーは入れ子状に階層構造を作っている。しかし、実際のネットワークの多くでは重なり合いが広い範囲にわたって生じていて、どのノードも複数のグループに所属しているために、ノードの全体的な階層構造では、重なり合うグループ間の関係性をとらえることができない。今回我々は、コミュニティーを、ノードではなくリンクでつながる集団として見直し、この正統的ではない見方によれば、重なり合うコミュニティーと階層構造との競合する組織化原理をうまく一致させられることを示す。グループをまとめるノードだけに注目した既存の文献とは対照的に、リンクでつながるコミュニティーは重なり合いを無理せず取り込みながら、階層的組織化も示す。タンパク質–タンパク質相互作用や代謝ネットワークといった主要な生物学的ネットワークを含めた多くのネットワークで、この考え方に合うリンクコミュニティーが見つかり、大規模な社会的ネットワークの1つには、市内スケールから地方スケールにわたる規模の階層化されたコミュニティー構造が含まれる一方で、広範な重なり合いが維持されていることが示された。これらの結果は、リンクコミュニティーが、ネットワークにおける重なり合いと階層構造が同一の現象の、いわば表と裏であることを示す基本的要素であることを意味している。 Full Text PDF 目次へ戻る