Article 医学:肥満と関連する、Cdk5によるPPARγリン酸化を阻害する抗糖尿病薬 2010年7月22日 Nature 466, 7305 doi: 10.1038/nature09291 マウスに高脂肪食を与えて誘発した肥満では、脂肪組織のプロテインキナーゼCdk5(サイクリン依存性キナーゼ5)が活性化される。その結果、脂肪生成、並びに脂肪細胞遺伝子発現の主要な調節因子である核受容体PPARγ(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ)のセリン273がリン酸化される。このPPARγの修飾は、脂肪生成能には影響を与えないが、インスリン感受性改善作用をもつアディポカインであるアディポネクチンの発現低下など、肥満時に発現が変化する多数の遺伝子の調節不全を引き起こす。Cdk5によるPPARγのリン酸化は、ロシグリタゾンやMRL24などの抗糖尿病作用を有するPPARγリガンドによって遮断される。この阻害はin vivoとin vitroの両方で生じ、従来知られている受容体転写活性化作用とは完全に無関係である。同様に、肥満患者へのロシグリタゾンの投与によるPPARγリン酸化の阻害は、この薬剤がもつ抗糖尿病性効果と極めて密接な関連がある。これらの知見はすべて、Cdk5によるPPARγのリン酸化がインスリン抵抗性の発生機序にかかわっている可能性を強く示唆しており、PPARγを介して作用する改良型世代の抗糖尿病薬の開発につながると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る