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進化:脂肪酸アシル還元酵素遺伝子の対立遺伝子の差異が、ガの性フェロモンの分岐を引き起こす

Nature 466, 7305 doi: 10.1038/nature09058

フェロモンに基づいた行動は、昆虫から哺乳類までの動物では非常に重要であり、フェロモンの違いが生殖隔離の基盤になっていることが多い。しかし、新しい種の進化に伴うフェロモンシグナルの変化の遺伝的機構は、ほとんど解明されていない。ガ(昆虫綱鱗翅目)の性的コミュニケーション系では、雌が種特異的フェロモン混合物を放出し、これが長い距離を越えて雄を誘引する。ヨーロッパアワノメイガ(Ostrinia nubilalis)には、性フェロモンで区別されるZEという2つの品種があり、フェロモンの酢酸塩化合物成分のシス異性体とトランス異性体の比率が異なる。このわずかな違いが、2つの品種の野外における強力な生殖隔離につながり、それが種分化の最初の一歩である可能性がある。雌の性フェロモン生産と雄のフェロモン応答行動を制御する主な遺伝子は異なっているが、その正体はつかめていない。今回我々は、フェロモン生合成に不可欠な脂肪酸アシル還元酵素遺伝子の対立遺伝子間の差異が、雌のフェロモン生産の表現型の違いにつながり、品種特異的シグナルを生じさせることを明らかにする。どちらの品種もフェロモン前駆体のシス異性体、トランス異性体の両方を作っているが、ZE対立遺伝子がコードする酵素の基質特異性により、前駆体の還元のされ方に違いが生じ、最終的なフェロモン混合物中での異性体の比率が逆になる。これらの知見から、ガの種内の行動的生殖隔離に寄与する遺伝子の機能的特徴が初めて明らかにされ、鱗翅目特有の還元酵素ファミリーの進化による多様化が重要であることがはっきりする。単一の生合成酵素のコード領域に置換が蓄積すると、フェロモンに差が生じて生殖隔離につながり、その最終的な結果として種分化が起こる可能性がある。

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