Letter 神経:軸索起始部の活動依存的な位置移動はニューロン興奮性を微調整する 2010年6月24日 Nature 465, 7301 doi: 10.1038/nature09160 ニューロンでは、軸索が伸び出す位置の近くの特殊化した領域は軸索起始部(axon initial segment;AIS)とよばれ、活動電位が発火する部位である。AISの正確な位置は、ニューロンの種類によって、また同じ種類間でも異なっており、その細胞の情報処理能力と関連付けられている。しかし、個々のニューロンでAISの位置を決める要因が何かはわかっていない。本論文では、電気的活動を変化させるとAISの位置が変化することを示す。海馬ニューロンの分散培養系で、細胞外液のカリウム濃度を高めて持続的な脱分極を起こすと、電位感受性Naチャネルを含むAISの複数の構成要素が、興奮性ニューロンの細胞体から最大17 µm離れるように遠位方向に移動する。この移動は、ニューロンを非脱分極状態に戻すと元に戻り、T型およびL型の電位感受性カルシウムチャネルの活性化に依存している。長期的LED(発光ダイオード)光刺激と、ニューロンでの光感受性陽イオンチャネル・チャネルロドプシン2の間隔をおいた発現を組み合わせた実験では、やはり遠位方向への移動が起こった。しかしこの条件では、光刺激がバースト様パターンの場合には移動が起こったが、同じ頻度でも発生間隔が一定の刺激では無効だった。また、このAISの移動は、活動電位発火の電流閾値の変化と相関していた。これらの結果は、ニューロンは1つの細胞内構造全体の位置を、電気的活動の水準やパターンによって調節できることを示している。この活動依存的という、今まで知られていなかった可塑性の形態は、発生過程でニューロンの興奮性を微調整している可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る