Letter 物性:二次元スカーミオン結晶の実空間観測 2010年6月17日 Nature 465, 7300 doi: 10.1038/nature09124 結晶秩序は、周期的な原子の配列に限らない。ウィグナー結晶などの電子に関するものや、軌道秩序、ストライプ秩序、磁気秩序の形態でもみられる。磁気秩序の場合、スピンは、強磁性体では互いに平行に、反強磁性体では反平行に整列する。その他では、それほど一般的ではないが、スピンがスピンテクスチャーとよばれる非自明な超構造を形成することがある。なかでも、スカーミオンとよばれるスピンテクスチャーは、スピンが球を覆うあらゆる方向を向く、トポロジー的に安定で重要なものである。固体磁性体におけるスカーミオン構造は、トポロジカルホール効果などの異常なスピン・電子物性を引き起こすと予想されている。最近、熱ゆらぎに駆動されるスカーミオンの結晶化が、三次元ヘリカル磁性体MnSiとFe1−xCoxSiの中性子散乱研究で、温度/磁場(T–B)相図の狭い領域で確認された。今回我々は、ローレンツ透過電子顕微鏡を用いたFe0.5Co0.5Si薄膜における二次元スカーミオン結晶の実空間画像化について報告する。膜に対して垂直に50〜70 mTの磁場をかけて、渦巻き状のスピンテクスチャーが格子間隔90 nmの六方格子の形をとるスカーミオンを観測した。得られたT–B相図は、モンテカルロシミュレーションとよく一致していることがわかった。この二次元のケースでは、スカーミオン結晶は非常に安定であるようにみえ、絶対零度付近も含めて相図の広い範囲にわたって出現している。薄膜におけるこのように制御されたナノメートルスケールのトポロジカルスピン構造体は、通常とは異なる磁気輸送効果の観測に役立つかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る