Letter

物理:単一分子の振動波束の可視化と制御

Nature 465, 7300 doi: 10.1038/nature09110

化学反応がたどる経路の能動的な操作とエネルギー転換過程の最適化は、整形したレーザーパルスを用いた量子干渉のコヒーレント制御の際立った例となる。実験的には、ある集団中の分子のサブセットを極短レーザーパルスと同期させて、コヒーレンスを確立することが多い。しかし、化学的には同一の分子であってもさまざまな配座で存在したり多様な環境中に存在したりする複雑な系では、この同期したサブセットには固有の不均一性があり、実現できるコヒーレント制御の程度が制限される。固有の不均一性を克服する、自然で、実際には究極的な解決法は、一度に1個の分子の振る舞いを調べることである。この単一分子法によって、生体分子相互作用、細胞過程、過冷却液体や共役重合体の動態など、さまざまな現象の有用な知見が得られている。単一分子のコヒーレント状態の調製はこれまで低温条件に限定されており、室温ではコヒーレントでない振動緩和経路しか調べられていなかった。本論文では、周囲条件において個々の分子の振動波束干渉を観察、操作した結果を報告する。光励起場の時間分布と位相分布を各分子の動力学的性質に適合させると、高度な制御が可能になることが示され、この方法を拡張すればほかの複雑な不均一系の単一分子コヒーレント制御を実現できると、我々は予想している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度