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生化学:2つの機能を有するイソクエン酸脱水素酵素キナーゼ/ホスファターゼの構造

Nature 465, 7300 doi: 10.1038/nature09088

大腸菌(Escherichia coli)イソクエン酸脱水素酵素キナーゼ/ホスファターゼ(AceK)は2つの機能をもつ珍しい酵素で、環境の変化に反応して、イソクエン酸脱水素酵素(ICDH)をリン酸化または脱リン酸化し、それによってICDHがそれぞれ不活化あるいは活性化される。ICDHの不活化によりグリオキシル酸バイパスを経ることが可能となり、クレブス回路が短絡される。原核生物でタンパク質リン酸化による調節の存在が明らかになったのはAceKとICDHの発見による。AceKは65 kDaのタンパク質で、典型的な原核生物のプロテインキナーゼより、かなり大きい。ATP結合モチーフを別にすれば、AceKはどの真核生物のプロテインキナーゼまたはホスファターゼとも配列相同性を共有していない。最も興味深いのは、AceKではプロテインキナーゼとポスファターゼという2つの相反する活性が1つのタンパク質中に存在していること、および、無傷ICDHのみを特異的に認識することである。さらに、AceKは強いATPアーゼ活性をもっている。AceKのキナーゼ、ホスファターゼとATPアーゼ活性は、同じ部位に存在することが明らかになっているが、そのような多機能性や調節の分子基盤は全くわかっていない。今回我々は、AceK、およびAceKとICDHとの複合体の構造を報告する。AceKの構造から、真核生物のATPを含むプロテインキナーゼに似たドメインと新規の折りたたみをされた調節ドメインが明らかになった。AceKホスファターゼ活性化因子とキナーゼ不活化因子として働くAMPが、2つのAceKドメイン間のアロステリック部位に結合していることがわかった。AMPにより仲介されたコンホメーション変化により、ATPが露出あるいは遮蔽され、AceKのキナーゼとホスファターゼ切り替えのスイッチとして働いており、ICDHの結合により、さらにコンホメーション変化が引き起こされて、AceKが活性化される。AceKの基質認識ループはICDH二量体に結合し、これによって高次の基質認識と相互作用が可能となり、ICDHのリン酸化部位の重要なコンホメーション変化が引き起こされる。

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