Article 構造生物学:ヒトP-TEFbと複合体を形成したHIV-1 Tatの結晶構造 2010年6月10日 Nature 465, 7299 doi: 10.1038/nature09131 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)ゲノムの発現調節は、主として転写伸長の制御によって行われている。ウイルスのタンパク質Tatは、P-TEFb(positive transcription elongation factor b)との相互作用により、宿主細胞のRNAポリメラーゼIIの伸長制御装置を乗っ取り、P-TEFbをHIV mRNAの伸長を促進するように働かせる。今回我々は、HIV-1 TatとヒトCdk9(CDK9としても知られる)、およびヒトサイクリンT1(CCNT1としても知られる)を含むTat・P-TEFb複合体の結晶構造について報告する。TatはP-TEFbの表面と相補的な構造をとっており、広範囲にわたって主にP-TEFbのサイクリンT1サブユニットと接触しているが、それに加えてCdk9サブユニットのTループとも接触している。この構造から、いくつかの部位での配列変化に対するTatの許容性に関して妥当と思われる説明が与えられる。TatがP-TEFbに大きなコンホメーション変化を誘起することは重要である。この知見は、Tat・P-TEFb複合体を特異的に阻害して、HIV複製を停止させる化合物の設計の基盤となる。 Full Text PDF 目次へ戻る